2019.09.28.Sat
「エルハポン/アクアヴィーテ!!」

真風涼帆
宝塚ミュージカル・ロマン「El Japón(エルハポン)-イスパニアのサムライ-」
作・演出/大野拓史
スペイン南部の町コリア・デル・リオに「サムライの末裔」を自認する「ハポン(日本)」姓の人々がいる。
なぜ遠い異国の地に日本の侍の伝説が残ったのか…。
慶長遣欧使節団として派遣された仙台藩士を主人公に、その侍らしい心情や異文化との出会いを色濃く描きあげる、ヒロイックで快活な娯楽作品。
慶長18年、仙台藩が派遣した慶長遣欧使節団の中に、夢想願流剣術の名手・蒲田治道の姿があった。
約一年の航海を経て使節団は目的地のスペイン(イスパニア)に到着するが、国王フェリペ3世との交渉が膠着し、港町セビリアの郊外にあるコリア・デル・リオで無為な日々を過ごすこととなる。
ある時、奴隷として農場に売られ脱走した日本人少女を助け出した治道は、匿う場所を探して宿屋を営む女性カタリナと知り合う。
近隣の大農場主から邪な欲望を抱かれながら、どんな脅しにも屈しないカタリナの凜とした姿に、治道はかつて心惹かれた女性の面影を見出していく。
やがて任務を果たした使節団は帰国することとなるが、出航の迫る中、治道のもとにカタリナが攫われたとの報せが入り…。
慶長18年(1613年)、仙台藩主伊達政宗は、イスパニアとの通商を求め支倉常長率いる慶長遣欧使節団を派遣しようとしていた。
その出立を祝して鬼剣舞の一団が勇壮な舞を披露している最中、数人があろうことか政宗に斬りかかるが、夢想願流剣術の名手で、政宗の護衛役・蒲田治道が狼藉者を鮮やかに斬り捨て、政宗は難を逃れる。
だが、首謀者である男の顔が明らかになった途端、治道は剣を納めてしまう。
男は和賀一族の生き残りで、政宗の命により和賀家に出仕していた治道がかつて愛した女性・藤乃の弟・藤九郎だったのだ。
和賀家が一揆を起こした際、政宗に呼び戻され、必ず戻ると誓った約束が果たせぬまま、和賀家一族がはかない最期を迎えたことを終生の悔いとする治道には、例え主君の命を狙った大罪人であろうと、藤九郎を手にかけることなど到底できなかった。
治道の苦しい胸のうちを察した政宗は、「二つ荷物を預ける」と支倉に命じ、治道と藤九郎を処分することなく、遣欧使節団の船に乗せ、一年余の長い航海へと送り出す。
それから一年、使節団はようやくイスパニアに到着し、国王フェリペ3世の王宮に迎えられたものの、実質的に国政を動かしている寵臣・レルマ公爵の、仙台藩と通商を結ぶことを得策ではないとの考えから、ローマ法王への謁見を勧められ、体よく城外に追いやられてしまう。
支倉がローマへと旅立ったあと、一行は郊外の修道院で無為の日々を送っていた。
その間にも治道の命を狙っていた藤九郎に、治道はいつでも命をやっていいと示すが、使節団幹部格の西九郎は、治道が和賀家に戻ろうとしたのを止めたのは自分で、その後悔の為に治道がどれほど苦しみ続けているかを語り聞かせ、藤九郎に翻意を促す。
そんなある夜治道は、コリア・デル・リオの町で追っ手から逃げて来た日本人の少女・はるに助けを求められる。
奴隷として農場に売られ過酷な労働を強いられていたはるを助けようと、多勢に無勢の中奮闘する治道だったが、突然加勢してきた、銃や短剣など様々な武器を纏う男アレハンドロの機転で難を逃れる。
はるは、隠れていた同じ立場の日本の少女たちを呼び寄せ、治道はその人数の多さに驚く。
少女たちは、フェリペ3世の改宗イスラム教徒追放政策により、多くの農園が働き手を失い困窮する中、禁止されている海外からの奴隷を導入して冨を得て、この地域を牛耳っているドン・フェルディナンドの農場で働かされていたのだ。
アレハンドロの勧めで一行は、女主人カタリナが営む宿屋に身を寄せる。
カタリナは結婚式の前日に婚約者を殺され、それをドン・フェルディナンドの策略だと察していたものの、確たる証拠がなく、一人宿屋を守りながらドン・フェルディナンドの秋波を拒絶し続けていた。
その為、何かといやがらせを受ける宿屋には、アレハンドロ以外に宿泊する者はいなかった。
そんな状態の宿屋に大勢の日本人女性たちを預ける形になった治道は、せめて宿代の一部にと自身の刀を持参する。
だがカタリナは、刀は武士の魂だと聞いている、夫も剣士だったからよくわかる、と話し、少女たちの宿代の代わりに剣を教えて欲しいと治道に乞う。
愛した人をなす術なく惨殺された後悔を抱え続けるカタリナは、次の困難が振りかかった時にこそ、戦う力を得たいと欲していたのだ。
共に愛する人を失った悲しみを胸の奥に抱え続けていた治道とカタリナ。
遠い異国に生を受けた二人は、互いの存在に、心の琴線に触れるものを感じるが、一方、フェリペ3世が掲げた悪政「貴族爵位の売却」に乗じ、ドン・フェルディナンドは息子のエリアスに爵位を得ることに成功。
土地を治める貴族が宿屋の経営権を許可する立場であることを利用して、カタリナを追い詰める。
日本の少女達を含めた宿屋を守る為、カタリナが身を捨ててドン・フェルディナンドの元に向かったことを知った治道は、折から通商交渉が失敗に終わり、日本に帰国することを余儀なくされた使節団から離れ、イスパニアに骨を埋める決意でカタリナ救出に向かうが…。
ショー・トゥー・クール「アクアヴィーテ(aquavitae)!!~生命の水~」
作・演出/藤井大介
香り高く、味わい深い、大人の飲み物ウイスキーをテーマに構成するショー作品。
個性的なウイスキーからイメージした数々の場面において、スタイリッシュでクールな格好良さを持つトップスター真風涼帆を中心とした宙組メンバーの多彩な魅力をお届け致します。

まかまど大劇場4作目。
来年は宙組大劇場公演が1作のみやし、まかまど政権まだまだ続くんやろか…。
ハイ

蒲田治道(かまたはるみち)/ 真風涼帆
(伊達政宗の家臣。慶長遣欧使節団の一員。夢想願流剣術の名手)
伊達政宗/ 美月悠
(仙台藩主)
只野作十郎/ 七生眞希
(伊達政宗の小姓)
藤乃(ふじの)/ 遥羽らら
(かつて蒲田治道と契りを交わした、和賀一族の娘)
藤九郎(とうくろう)/ 和希そら
(藤乃の弟。慶長遣欧使節団の一員)
稗貫三郎/ 澄風なぎ
(稗貫家の生き残り)
支倉常長(はせくらつねなが)/ 寿つかさ
(慶長遣欧使節団を率いた仙台藩士)
西九郎(にしくろう)/ 瑠風輝
(慶長遣欧使節団の一員。蒲田治道の剣の師)
内蔵丞/ 秋音光
(慶長遣欧使節団の一員)
久次/ 秋奈るい
(慶長遣欧使節団の一員)
金蔵/ 愛海ひかる
(慶長遣欧使節団の一員)
主殿/ 優希しおん
(慶長遣欧使節団の一員)
九郎右衛門/ 鷹翔千空
(慶長遣欧使節団の一員)
吉内/ 風色日向

(慶長遣欧使節団の一員)
内藤半十郎/ 松風輝
(慶長遣欧使節団の一員)
ソテロ神父/ 実羚淳
(日本にやってきたイスパニア人宣教師。使節団と共に渡欧)
カタリナ/ 星風まどか
(イスパニア、コリア・デル・リオの宿屋の女主人)
ロベルタ/ 花音舞
(カタリナの宿屋で働く女)
ミゲル/ 星月梨旺
(カタリナの宿屋の料理人。ロベルタの夫)
ドン・フェルディナンド/ 英真なおき(専科)
(カタリナに邪な欲望を抱く大農場主)
エリアス/ 桜木みなと
(ドン・フェルディナンドの息子)
用心棒パブロ/ 希峰かなた
(ドン・フェルディナンドの用心棒)
用心棒ペドロ/ 穂稀せり
(ドン・フェルディナンドの用心棒)
用心棒セリオ/ 若翔りつ
(ドン・フェルディナンドの用心棒)
はる/ 天彩峰里
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
とら/ 小春乃さよ
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
とめ/ 天瀬はつひ
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
しず/ 夢白あや
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
きく/ 里咲しぐれ
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
せつ/ 水音志保
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
すて/ 花菱りず
(ドン・フェルディナンドの農場に売られた日本人奴隷)
アレハンドロ/ 芹香斗亜
(流れ者の剣士)
フェリペ3世/ 星吹彩翔
(イスパニア国王)
王妃マルガレーテ/ 美風舞良
(イスパニア国王フェリペ3世の王妃)
王女マウリシア/ 愛咲まりあ
(イスパニア王女)
レルマ公爵/ 凛城きら
(フェリペ3世の寵臣)
ウセダ公爵/ 春瀬央季
(レルマ公爵の息子)
バランシャ伯爵夫人/ 桜音れい
(レルマ公爵の娘)
道化セバスティアン/ 留依蒔世
(宮廷道化師)
女官ビアンカ/ 瀬戸花まり
(王宮の女官)
道化ニコラ/ 綾瀬あきな
(宮廷道化師)
トレド大司教/ 水香依千
(スペインのカトリック教会の首座)
踊り子パメラ/ 花宮沙羅

(コリオ・デル・リオの繁華街にある、酒場の踊り子)
貴族/ 真名瀬みら


宙組公演「エルハポン」 宙組公演「エルハポン」
¥11,000 Blu-ray 2019年12月号
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