2017.11.28.Tue
「不滅の棘」

愛月ひかる(研11)
ロマンス「不滅の棘(とげ)」
原作/カレル・チャペック 翻訳/田才益夫
脚本・演出/木村信司
チェコの代表的な作家カレル・チャペックの戯曲「マクロプロス事件」をもとに、新たな脚本で舞台化した「不滅の棘」。
2003年、春野寿美礼を中心とした花組での初演は、白で統一された衣装や舞台装置、ドラマティックな展開で鮮烈な印象を残し、好評を博しました。
人間は必ず死ぬ運命にある。もし永遠の命を与えられてしまったら…価値は、倫理は、そして愛は?
永遠の命を与えられた主人公が、虚無的な行動で波乱を巻き起こす様を描く。
果たして、絶望の果てに生きる彼が最後に辿り着く所とは…。
1603年、ギリシャ・クレタ島。
医師ヒエロニムス・マクロプロスは、国王ルドルフ2世を欺むき、不死の秘薬と偽って王に渡した薬の効力がないことが発覚し、王の差し向けた刺客に襲われ命を落とす。
だが、1人残された息子のエリイ・マクロプロスは、衝撃の事実を知り呆然としていた。
父が研究していた薬の中で、ただ1つ本当に不老不死の効果をもたらす薬を、知らぬ間に自分が飲まされていたというのだ。
望まぬままに不死の命を得てしまったエリイは、1人悲嘆に暮れる。
1816年、プラハのカレル橋。
不死の身のまま今は、宮廷のお抱え歌手エリイ・マック・グレゴルとして生きる彼に、物乞いの女性が「施しを」と声をかける。
その日自分が寝泊まりをするに足りる金額だけを残して、財布ごと女性に投げ与えてしまうエリイ。
ところが、物乞いに身をやつしていたのは、彼を慕い続ける令嬢フリーダ・プルスだった。
ひたすらにエリイの愛を乞うフリーダに、例え誰を愛してもその相手は自分を置いて世を去ってしまうと、自らに人を愛することを禁じてきたエリイの心は揺れ動き、二人は1つの影となってカレル橋を去っていく。
1933年、プラハ。
4代前から引き継いだ、100年に及ぶ裁判の原告であるフリーダ・ムハは、弁護士コレナティの助言を無視し、訴えを最高裁に持ち込んだものの、敗訴の判決が下るのは確実との報せに苛立っていた。
コレナティの息子アルベルトは、確たる証拠もないまま訴訟を急ぐフリーダの姿勢の理解に苦しむが、フリーダは人は100%死ぬのだから、生きている間にお金が欲しいのだとキッパリと言い放つ。
そこへ突然、公演の為にプラハに滞在中の有名歌手エロール・マックスウェルが現れ、呆気にとられる一同をよそに、フリーダの訴訟に興味を示したばかりか、100年も前の事件についての有力な情報を次々と明かしだす。
そんな彼の様子にアルベルトは強い不信感を抱くが、裁判の結論をひっくり返せるかも知れない新事実にフリーダは飛びつき、コレナティもその情報を裏付ける証拠さえあるなら、と言い募る。
するとエロールは、証拠は訴訟相手のプルス男爵邸の書棚にあるはずだから、今夜盗みに行こうとこともなげに提案する。
見ず知らずの、しかも大スター歌手が何故自分の訴訟に、そこまで協力しようとするのかを、さすがに訝しんだフリーダに、エロールは「お前には幸せになって欲しい」と、謎のような言葉を残し、アルベルト、コレナティと共にプルス男爵邸に向かう。
プルス男爵邸にはフリーダの訴訟相手の男爵未亡人タチアナと、酒に溺れる日々に幻覚さえ見るようになっている息子ハンスと、そんな兄を心から案じるクリスティーナが暮らしていて、泥酔したハンスを巡ってこの日も口論が続いていた。
そこに忍び込んだエルーロたちは、折悪しくクリスティーナに気づかれ、アルベルトとコレナティを逃がしたエロールは、恐慌して銃を構えるクリスティーナを懐柔しようとするも失敗。背中を撃たれてしまう。
人を撃ってしまったと取り乱すクリスティーナに、エロールは傷口をかばいながらも、明日の公演を必ず観に来て欲しいと告げて姿を消す。
翌日の夜、エロール・マックスウェルが負傷したらしいというゴシップ記事をよそに、エロールは何事もなかったかのように舞台に姿を現わした。
100年前の事件を詳細に語り、背中に銃弾を受けたはずなのに、華麗に歌うエロール・マックスウェルは何者なのか?
フリーダ、アルベルト、クリスティーナ、タチアナ、ハンス、コレナティ。
彼をめぐる人々の渦の中で、事態は次第に不穏な様相を呈していき……。

祝


同期のキキ芹香が花から宙に2番手異動してきて、この人の立ち位置も危うげな中での今このタイミングでの東上主演の意味とは…

現状愛さん宙の3番手格ですが、とりま劇団としてはこの先上げていくつもりがあるのだと…そういうことでよござんすな

ハイ

2018年宙組版 2003年花組版
<1603年・ギリシャ>
エリイ・マクロプロス/
(ヒエロニムスの息子)
愛月ひかる/春野寿美礼
ヒエロニムス・マクロプロス/
(ルドルフ二世に依頼され、不死の秘薬を作りだす。エリイの父。1603年に死亡)
水香依千/大伴れいか
刺客(頭)/
/嶺輝あやと
刺客/
湖風珀・雪輝れんや・澄風なぎ・惟吹優羽・若翔りつ・朝日奈蒼/
高翔みず希・貴怜良・紫峰七海・祐澄しゅん・月央和沙
<1816年・プラハ>
エリイ・マック・グレゴル/
(宮廷のお抱え歌手)
愛月ひかる/春野寿美礼
フリーダ・プルス/
(令嬢。エリイと愛し合う。1825年に死亡)
遥羽らら/ふづき美世
道化/
(フリーダ・プルスの使いとして、エリイの前に現われる)
星月梨旺/高翔みず希
淑女/
花菱りず/
<1933年・プラハ>
エロール・マックスウェル/
(公演の為、プラハに滞在中の有名歌手)
愛月ひかる/春野寿美礼
サマンサ/
(コーラス・ガール)
花菱りず/涼葉らんの
キャロル/
(コーラス・ガール)
桜音れい/絵莉千晶
レスリー/
(コーラス・ガール)
花咲あいり/花純風香
モニカ/
(コーラス・ガール)
愛白もあ/歌花由美
フリーダ・ムハ/
(百年前から続く「プルス事件」裁判の原告)
遥羽らら/ふづき美世
コレナティ/
(「プルス事件」裁判の弁護人)
凛城きら/夏美よう
アルベルト/
(弁護士コレナティの息子)
澄輝さやと/瀬奈じゅん
マリア/
(コレナティの秘書)
天瀬はつひ/幸美杏奈
タチアナ/
(プルス男爵未亡人。フリーダの訴訟相手)
純矢ちとせ/梨花ますみ
ハンス/
(タチアナの息子)
留依蒔世/彩吹真央
クリスティーナ/
(タチアナの娘)
華妃まいあ/遠野あすか
メイド/
(プルス男爵家のメイド)
春乃さくら/幸美杏奈
カメリア/
(謎の老女)
美風舞良/翔つかさ
刑事/
(公文書偽造の罪でエロールを逮捕しようとする)
七生眞希/高翔みず希
筆跡鑑定人/
(アルベルトが鑑定を依頼する)
朝央れん/大伴れいか
サム/
(歌手)
朝央れん/大伴れいか
ハリイ/
(歌手)
七生眞希/高翔みず希
ソニイ/
(舞台スタッフ)
星月梨旺/大伴れいか
ロナルド/
(舞台スタッフ)
朝日奈蒼/高翔みず希
掃除婦/
(劇場の掃除婦)
里咲しぐれ/幸美杏奈
市民/
若翔りつ・天瀬はつひ・澄風なぎ・湖々さくら/
紳士/
/貴怜良・嶺輝あやと
淑女/
/七星きら・初姫さあや
※ 2003年、花組で春野寿美礼×ふづき美世トップコンビお披露目公演として初演。


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